去年5月に三浦で撮影した写真です。
今、10年以上前に三陸の漁師の方が書いた「リアスの海辺から」という本を読んでいます。
著者の畠山重篤さんは、お父様も息子さんも漁をされる3代続く漁師の2代目の方で、幼少期から三陸気仙沼の海とともに生きてきたそうです。
前半、畠山さんが子どもの頃のこの辺りの海の様子が綴られているのですが、生き生きとした描写でその頃の海の豊かさが語られ、読んでいる私も子どものような気持ちになってわくわくするほどでした。
この海に育てられ、畠山さんは漁師の道に進みますが、昭和40年代50年代くらいに海の環境は著しく悪化します。
そんな時、畠山さんはフランスブルターニュ地方の視察がきっかけで、海に注ぐ川の上流の広葉樹の森の大切さに思い至ったそうです。
森の養分をいっぱい含んだ川が、海に流れ混み、植物プランクトンや海藻をはぐくみ、そこにたくさんの小動物が命をつないでいく・・・そして始まったのが「森は海の恋人」運動でした。
山の人と海の人が交流を持ち、お互いの仕事を知り、上流に広葉樹の植林を始めたのです。
読んでいて、数年前にとてもおいしい牡蠣をいただいた市場の食堂で、女将さんが仰った言葉がよみがえりました。
「この牡蠣は、山からの雪解け水が流れ込む海で育った牡蠣なのよ。」
そういうことだったのだな~・・・
リアスというのは、スペイン語で汐入川という意味だそうです。
長年、海とともに生きて来られた著者の言葉は力強く、説得力があります。
三陸の海のすばらしさ、その海と生きることの厳しさ、そして、何よりこの土地の方たちがこの海をとても大切に思っていることが伝わってくる1冊です。